菊のことを、きれいだと思えるようになった9月
9月の花を考えたとき、今年は菊に向き合ってみたいと思いました。
食欲の秋でもあるし、日本酒に合う花って何だろう、と考えていたときに知ったのが、重陽の節句と菊酒のことでした。
花を眺めながらお酒を楽しむ。
そんな日本の行事があることを、木型キーホルダーを通して知ってもらえたらいいなと思ったのが始まりでした。

9月9日から、9枚の円へ
重陽の節句は9月9日。
その数字をヒントにして、菊の形も9枚の円を重ねるようにして考えました。
丸が重なっていくと、花びらのようにも見えるし、少し祝祭のような感じも出てきます。
菊という花の持つ和の印象に、少し現代的な軽さを足したいと思いました。

September のきらめきを、菊の中に
9月になると、どうしても思い出す曲があります。
その高揚感から、今回の菊にはミラーボールみたいなきらきら感を入れたいと思いました。
細い線で面を作り、深さを少しずつ変えて、光がちらつくような印象を目指しています。
菊は静かな花だけれど、明るい記憶にも結びつく花にしたかったのです。

苦手だった花が、少し違って見えた
実は、私は菊があまり好きな花ではありませんでした。
子どもの頃、祖父母との最後のお別れのときに見た花が、菊だったからです。
母の涙と、あの匂いだけが、長く心に残っていました。
でも今回、菊に向き合ってみたら、不思議と悲しいことよりも、祖父母と過ごしたきらきらした記憶の方がたくさん戻ってきました。
だからデザインも、しんみりしたものではなく、少しつやがあって、明るく見えるものにしたいと思いました。

思い出は、意外なところからつながっている
あとから思えば、この円の重なりの感覚も、子どもの頃に祖母が買ってくれた、くるくる回して模様を描く文房具の記憶につながっていたのかもしれません。
当時はただ楽しかっただけの体験が、30年近く経って、こんな形で戻ってくる。
ものづくりって、そういう時間のつながりも面白いなと思います。
今年の9月は、そんな気持ちで、菊を木の形に残しました。


