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記事: 紫陽花は、表だけでは終わらない花だった

紫陽花は、表だけでは終わらない花だった

6月の花といえば、やっぱり紫陽花を思い浮かべます。

でも今回、私が作りたかったのは、ただ“紫陽花らしい形”だけではありませんでした。

きちんと整った花の顔と、その裏側にある、少しやわらかくて、ほっとする思い出。
その両方を一つの木型キーホルダーの中に入れたいと思いました。

折り紙の線から生まれた紫陽花

今回の模様は、折り紙の線をもとにして考えました。

子どもが作ってくれた折り紙の形を見て、そのラインをトレースして、重ねて、回して、少しずつ模様にしていく。
機械で作るデザインでも、元になった線にはちゃんと人の手の温かさが残る気がしています。

紫陽花は花そのものもきれいですが、こうして線の重なりに置き換えてみると、また違う表情が見えてきました。

凹でも凸でも、美しく見えるように

今回は、キーホルダーとして見た時だけでなく、型押しした素材の状態でも模様がきれいに出るように考えました。

凹の状態でも、凸の状態でも、どちらから見てもちゃんと美しいこと。
そこに少し自信のある、6月の木型になりました。

クッキーや陶器やガラスにまで広がっていく様子を思うと、道具としての楽しさも感じます。

表には紫陽花、裏にはカタツムリ

子どもの頃、紫陽花の季節になると、花よりも葉っぱの裏が気になっていました。

葉の陰に隠れているカタツムリを探して、見つけると少しうれしくて、つい角をつついてみたくなる。
紫陽花の思い出には、そんな裏側のわくわくがありました。

だから今回は、表にはきちんと紫陽花を入れて、裏にはほっこりするカタツムリを忍ばせています。
ぱっと見では分からないけれど、使う人だけが気づく遊び心です。

少しだけ、未来のことも考えながら

今回のキーホルダーは、国産のクルミ材で作りました。

過去の思い出があって、今こうして日本橋で模様を作っていて、これから誰かの手に渡っていく。
木型を作ることは、受け取ってくれた人の未来を少しだけ応援することでもあるのだと思います。

今年の6月は、そんな気持ちで、紫陽花を木の形に残しました。